月の残業が20時間を超えた頃から、なんか眠れなくなったって話、わりとよく聞く。
厚生労働省のデータによると、日本の労働者の月間残業時間の平均は約20時間。でもこれ、「少ない方」だと思ってた人、けっこういるんじゃないかな。実態は、残業ゼロの人と80時間超えの人が混在しながら、その「平均20時間」という数字が作られているっていうのが現実だったりする。
統計を引くと、この数字はもう少し複雑な顔をしている。
月間残業時間の分布と「メンタルに響く」水準
厚生労働省の毎月勤労統計調査(2024年度)と過労死等防止対策白書をもとに整理すると、こんな分布になる。
| 月間残業時間 | おおよその割合 |
|---|---|
| 0時間(残業なし) | 約30% |
| 1〜20時間 | 約35% |
| 21〜45時間 | 約22% |
| 46〜80時間 | 約10% |
| 80時間超 | 約3% |
上の表を見て最初に思うのは、「ゼロと80時間超が同じ社会に存在してる」という事実の重さだったりする。平均20時間という数字は、この両端が混ざり合った結果として出てきている。グラフにすると右に長く引っ張られた形になっていて、上位層の残業量が平均を押し上げている構造だ。
過労死等防止対策白書では、月45時間を超える残業が続くと健康リスクが高まり始め、80時間を超えると「過労死ライン」として認定されうると示している。つまり全体の約13%、10人に1人以上が「メンタルや身体に影響が出てもおかしくない水準」で働いているということになる。ちょっと待って、という感覚になる数字だと思う。
45時間という数字を生活に置き換えると、1日平均2時間以上の残業が毎営業日続く計算になる。朝9時出社なら、毎日21時前後まで職場にいる状態だ。それが「月45時間」の実感値として、わりとしんどい。
残業時間と「じわじわ来る」メンタルへの影響
意外と見落とされているのが、「慢性的な20〜30時間」の積み重ねだったりする。
80時間を超えると誰でも「やばい」と気づく。でも、月25時間の残業が半年続く、というのは「ぎりぎり許容範囲」として処理されてしまいがちで、気づいたときには睡眠の質が落ちていたり、休日に何もしたくなくなっていたりする。過労死等防止対策白書でも、長期間の中程度残業が抑うつ症状と相関することが報告されている。
職種・業種でも大きく違っていて、建設業・医療福祉・情報通信業は平均を大きく上回る傾向がある。同じ「月20時間」でも、毎日コンスタントに1時間なのか、月末の3日間で20時間詰め込むのかでは、体への負荷が全然違うという話もある。
あ、話がずれたけど、要は「平均20時間」は安全圏ではないし、それより多い人が今の自分の位置を把握しておくことには意味がある、ということだ。
自分はどのランクにいるか
この記事のランク分けは、残業ゼロから80時間超まで10段階にしてある。
「sr:たまに遅くなるくらい」あたりは上位30%に入る水準で、「c:帰れない夜が増えてきた」以下になってくると、45時間超えの域に入ってくる。意外なのは、自分では「まあ普通かな」と思っていた層がnやcに落ちるパターンが多いこと。数字を入れてみると、ちょっと見方が変わる。
自分がどこに位置するか、月の残業時間を入れると一瞬でわかる。
🎯 日本の労働者の月間残業時間ランク診断
月間残業時間を入力してください
このランク名、なんか人に言いたくなるやつじゃないかと思う。
診断後の「次の一手」
Dランク以下だったとして、それは今の職場での話でしかない。
まず確認してほしいのは、「その残業が構造的なものか、一時的なものか」という点だ。プロジェクトの繁忙期なのか、慢性的な人員不足なのかで、取るべき行動が変わってくる。
慢性的にDランク以下が続いているなら、今の職場が「そういう職場」である可能性が高い。外の求人を見るだけでも、残業時間の実態は求人票に出てくることがある。転職会議やOpenWorkといった口コミサイトで「残業時間」の実態を調べてみると、自社の水準が相対化できる。
Eランク以下になっているなら、まず産業医や社内の相談窓口に話を持っていくことを検討してみるといい。外部の相談窓口としては、厚生労働省の「こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)」が無料で使える。情報を集めるだけで、選択肢が広がることがある。
よくある質問
Q. 月間残業時間の「平均」と「中央値」はどう違う?
厚生労働省の統計では平均が20時間前後だが、中央値はもう少し低く、10〜15時間程度と推定される。残業がゼロの人が3割いる一方で、80時間超えの人が分布を右に引っ張るため、平均が中央値より高くなる構造になっている。実態としては「残業が少ない人が多数派だが、一部が大量にこなしている」というのが正直な分布の読み方だと思う。
Q. 月45時間と80時間、どちらを気にすればいい?
両方気にした方がいい、というのが現実だったりする。80時間は法律上の「過労死ライン」として有名だが、45時間を超えた時点で健康リスクが統計的に上昇し始めることが過労死等防止対策白書で示されている。「80時間未満だから問題ない」という判断は、体感的にはかなり危ういと思う。45時間を1つ目の警戒ラインとして持っておくのが現実的だ。
Q. Dランク(月60〜80時間)から残業を減らすには何から手をつければいい?
正直、個人の努力だけで減らせる場合と、職場の構造が変わらないと無理な場合がある。まず「自分の残業の内訳」を1週間記録してみると、「これ自分がやらなくてよかったかも」が見えてくることがある。それでも変わらないなら、外の職場の残業実態を転職口コミサイトで調べてみる価値はある。求人票の「残業時間:月20時間以内」という数字の信憑性も、口コミで検証できる。動くかどうかより、まず知ることが最初の一手だったりする。
